博多湾は閉鎖性内湾になっており,リンなどの栄養塩類が流れ込み,赤潮が発生するなど富栄養価の現象が続いています.福岡市では,博多湾の水質を保つために,リン除去を目的として「嫌気好気活性汚泥法」および「嫌気無酸素好気法」等による高度な水処理を進めています.一方,これらの微生物による生物反応を用いた水処理は,気象等の外的要因から受ける影響が大きく,現在は専門の業者が天候や気温,汚泥や雨水の流入量,空気量等の各値を逐次モニタリングし,「職人芸」的にパラメータを調整することで水質を維持しています.
そこで,気象等の外的要因に対してロバストな水処理を実現すべく,福岡市道路下水道局と連携し,データ・ドリブンによる下水処理について検討を開始しました。6月13日(水)には,数理・データサイエンス教育研究センター所属の谷口 寿俊 助教(工学研究院),加葉田 雄太朗 助教(マス・フォア・インダストリ研究所)の2名が市内の和白水処理センターへ現地視察に赴き,現場の皆様からお話を伺ってきました。また,本視察には,北海道大学の寺本 央(ひろし)先生も飛び入りで参加され,非常に有意義な意見交換がなされました。
このように,数理・データサイエンス教育研究センターでは,専門や組織の垣根を越えて学際的に知見を結集し,数理・データサイエンスの具体的な社会実装にも取り組んで参ります。